鉄の素材感 × 木の素材感
= 快適で高性能な住まい

「kitotetuの家 パッシブデザイン手賀沼モデル – KATAYAMA 700」は、古い集落の景観に配慮しながらも、金属屋根、金属サイディング、kitotetu®パネル、太陽光発電システム、断熱材、高性能窓など多種の現代的先進建材を使用し、意匠、構造、快適性、省エネ性能を高度に実現する次世代の住まいを目指した居住/住宅モデルです。ZEH・長期優良住宅の性能を満たし、自然豊かな土地での暮らし方を利用者に発信するための多様な利用性をもった施設として設計されました。

kitotetu®パネル

“木”と“鉄”の特徴を最大限に活かした木造軸組み工法に適用される、鋼製面材耐力壁 “kitotetu”。鋼製面材には、耐食性に優れる溶融亜鉛-6%アルミニウム-3%マグネシウム合金めっき鋼板(JISG3323)が使用されている。壁倍率は4.2又は4.5倍。「kitotetuパネル」は、この鋼製面材耐力壁 “kitotetu”と押出法ポリスチレンフォームを一体化してZEHにも容易に対応できる断熱性能を有する外張り断熱耐力パネルです。

居住/住宅モデルの利用性

プロジェクトの拠点となることを想定し、建物周りにも多様な居場所を設けています。段丘崖につながる緑あふれる庭園は、環境を保全しつつ憩いの景色となる水庭を配置。環境調和のモデルとなり自然活動の拠点とします。平屋のはなれは、世界各国の建築図書が閲覧できる多目的図書室として計画。建築を学ぶ学生などにも開かれた場所に。2階建ての主屋は、各建材を体感できるよう公開する予定です。

  • 居住スタイルの提示
  • 住まいの性能提示
  • 各企業建材の展示
  • 建築図書館
  • 企業の保養所
  • 展示会場

DESIGN CONCEPT
デザインコンセプト

素材感でファサードをつくる

シンプルな壁面形状と、要素を減らした構成によって素材感を強調することを意図した。外壁は、銀黒色の塗装ガルバリウム鋼板を表面材に使用したスパン調の金属サイディングを使用し、シャープなイメージを持たせた。V型の溝によって作られる陰影は金属ならではの素材感を表出している。継ぎ目のない長尺材を使って、壁面の美しさを見せることができる点も金属の外壁材の特徴である。また、金属素材は資源循環の視点から地球環境への貢献が期待できる。天然木材と鉄素材を組み合わせることにより、木と鉄それぞれの素材感が強調され、シンプルな形状と凹凸のある壁面によって印象的なファサードを構成している。

窓周りの居場所

日中の日射を活用するため、南側に大きな開口部を設けるとともに、適切に調整された庇を設けた。冬季は自然採光が得られ、夏季は直射日光を遮蔽する。冬季の日射を考慮して距離がとられた主屋とはなれとの間の空間には、テラスがあり、大きな庇の下に日影が作られ、季節ごとに異なる建物まわりの屋外空間、半屋外空間が居場所となることを意図した。

多様な屋根・庇の構成

敷地周辺には民家が点在し、建物周辺の緑とともに現代の工業化住宅にはない特徴的な屋根の景観を構成している。本計画では、この景観に配慮しながら、高さ・勾配・奥行きの異なった金属屋根と庇で多様な景観と居場所を作った。主屋は4寸勾配の立平葺き屋根、はなれは3寸勾配で化粧スレート葺き風の新タイプの重ね葺き金属屋根、庇は1寸勾配程度の緩勾配の立平葺きとした。いずれの屋根・庇にも、つや消し黒色の塗装ガルバリウム鋼板を用いることで、金属素材の特徴を活かしつつ周辺の瓦屋根の景観に溶け込むよう考慮した。

居場所を作る外部空間と内部空間のグラデーション

建築図面

 

PHOTO GALLERY

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現地の環境データ
「パッシブ気候図」によって地域の気候を読み解き建築のカタチにする

年間の日射角度/気温イメージ

外気温(Temperature)

盛夏は30°Cを超える時間帯もあるが、比較的夜間の外気温が下がることから夜間に換気することが効果的である。冬季は零下になることもあるため、一定の断熱性が求められる。また、比較的中間期が長いことから、軒下やテラスなどの外部空間の計画によって、屋外で過せる場所の活用を考える。

風速・風向(Wind Speed and Direction)

年間を通して日中は風速1.6〜2.4m/s程度の風が確認できる。夏季は積極的な通風と夜間の換気、冬季は換気程度の窓開けが可能な窓の計画を考える。また、袖壁などの風を捕らえる工夫や、南北に風が抜ける建築的工夫も有効である。

日射量(Insolation)

4月頃と8月頃にピークがあり、年間を通して比較的日射に恵まれている。庇や軒の出は、冬至や夏至の太陽高度に合わせたものにするのではなく、日射量と外気温から総合的に判断し、日射の取得と遮蔽の計画を考える。

相対湿度(Relative Humidity)

夏季の日中は相対湿度70%程度を推移するが、中間期は比較的すごしやすい湿度であることがわかる。夏季は通風とともに湿度が高い場合は、排熱するための窓の計画が必要である。

地域の環境を建築デザインと融合した
建築環境デザイン

「kitotetu 手賀沼モデル」は、地域の気候を読み解き、現代的なツールを活用して、その環境を予測しながら建築デザイン、室内のデザイン、外部空間のデザイン、環境計画などを総合した「建築環境デザイン」として計画した。

外張り断熱による外皮性能向上

「kitotetuの家」の壁は、kitotetuパネル(鋼製面材耐力壁 “kitotetu” と一体化した押出法ポリスチレンフォーム50mm厚の外張り断熱パネル)が標準仕様となっている。施工精度が高く、気密性向上にも貢献するkitotetuパネルが、室内温度の安定に寄与している。外張り断熱に加えて金属サイディングの芯材に使われている硬質プラスチックフォームによって更に断熱性を向上し、高性能窓などとともに高い断熱性能を持つ外皮を実現する。

光環境

南北に開いた建築計画は、時間や季節によって変化する光環境に考慮したものである。冬季は南の窓から光を取り込み、北の窓はカーテンやブラインドなどで調整することで、明るい室内環境を作ると同時に北からの熱損失を減らす。夏季は南の窓のブラインドで日照を制御して、北の窓から天空光を取り込むことで、暑さを防ぎながらも自然採光による室内空間を作ることが可能な計画とした。

通風環境の向上を意図した空間構成

「kitotetuパネル」と「高性能窓」により、建物外周を包み込むことで、フレキシブルな計画が可能となる。主屋は建物の中心部に鋼製面材耐力壁“kitotetu”をコア状に配置し、南と北両方に開放する計画とした。主屋、はなれともに南北の二面に窓を設けて南北方向の通風を確保し、袖壁と主屋2Fのインナーバルコニーに設けた窓によって、変化する風向にも対応した計画としている。また、巾の狭いスリット状の縦滑り窓を設けることにより夜間の就寝後や外出時にも窓を開放し通風を確保することができる。これらの窓により屋外との接点を増やし、外部の様子に合わせて風を取り込むことを可能にした。

kitotetuの家 パッシブデザイン手賀沼モデル
ベーシックモデルプラン

KATAYAMA 700のデザインをベースに、「2階建プラン」「平屋プラン」の2つの標準モデルを用意しています。


2階建プラン

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建築図面

 

平屋プラン

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建築図面

kitotetu®の家 参考資料

「関連資料」のページに、「kitotetuの家」の参考資料を掲載しています。ぜひご参照ください。